くらしの豆知識

あなたの隣りの相続物語 第120回 ~72歳のお一人様の悩み~

 

掲載日:2019/5/1

‡ 72歳のお一人様の悩み ‡

 

 

相続手続支援センターパンフレット

あるセミナーで、一人の女性と出会いました。

手には、戸籍謄本と通帳を何冊かお持ちでした。

ご相談をお伺いすると、2年前に亡くなった夫の相続財産の手続きを行うとのこと。

 

通帳2冊と証券会社に特別口座を1つ、自宅と昔購入した滋賀県の山奥の山林の名義変更手続きなので、わりと簡単にできると思っておられたようですが、このご夫婦にはお子様がひとりもいませんでした。

 

この場合、財産を継承する相続人は、配偶者であるこの女性以外に亡くなった夫の兄弟姉妹(第3順位)が存在していたのです。8人兄弟の末っ子であるご主人のご兄弟は既にお亡くなりになられている方もおり、戸籍調査を行った結果18人もの相続人が現れました。姪、甥を探していく作業も大変ですが、それ以上に、18人の意見を調整して行かなければならない遺産分割協議は大変な作業です。

不動産の名義変更や預貯金の解約手続並びに、株券の名義変更の手続きには、必ず相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書が必要となってきます。18人の相続人には、子どものころから疎遠になっている人もいるため、ほぼ初対面の感覚で上記書類をお預かりしなくてはいけません。「生前にもう少し仲良くしておけばよかったわ・・・」なんて言ってももう遅いのです。

 

相続手続支援センターパンフレット

しかし、この方のお話をよく聞くと、昔に主人と一緒に行った勉強会で、遺言書を書いたことがあるとのことでした。そこで、ご自宅をよく探していただいたところ遺言書を発見できました

内容は「私の財産をすべて妻花子に相続させる。平成15年12月18日 相続太郎印」と簡単ではありますが、遺言書の用件を満たしたものでありました。

遺言書さえあれば、相続人全員の実印や印鑑証明書は必要なく手続きができるので、相続手続きを行う上では、非常に役に立ちます。自分で書いた遺言書の場合は家庭裁判所にて「遺言書の検認」を請求する必要がありますが、手続きを行う法務局や銀行では、水戸黄門の印籠のような効果があるのです。

 

最初は、遺産分割協議がまとまりにくいご相談だと思っていましたが、遺言書があったおかげで、無事スムーズに行うことができました。

また、遺言書には、大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」以外に、公証人が作成する「公正証書遺言」があり、こちらの遺言書では、家庭裁判所での遺言書の検認手続きが不要ですので、よりスムーズに手続きができますし、公証役場で原本を保管しますので、紛失のおそれもありません。

今から作成するという方には、公正証書遺言の作成をおすすめします。

 

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