くらしの豆知識

あなたの隣りの相続物語 第110回
~実際にはなかった公衆用道路~

 

掲載日:2018/7/1

‡ 実際にはなかった公衆用道路 ‡

 

 

相続手続支援センターパンフレット

新井さん(仮名)のお母さんが亡くなりました。

「すべての財産を長男に相続させる」という内容の公正証書遺言があったので、その公正証書をもとに名義変更の手続きを進めていました。

市役所からもらってきた名寄帳(所有している不動産の一覧表)には、亡くなったお母さんの名義の土地・建物のほかに、先代であるお祖父さんの名義の土地が一筆だけありました。公衆用道路0.58㎡という小さな土地でした。

お祖父さんは40年ほど前に亡くなり、唯一の相続人だったお母さんが全て相続をしたと聞いていたので、びっくりしました。

 

新井さんはすぐに、その市役所の窓口で確認しました。

「亡くなった母が祖父の不動産の名義変更は済ませたと思いますが、一筆だけ残っているのです。どうして残っているのか調べていただけますか?」

しばらくして担当者が「どうしてもその道路の地番が見つかりません」というのです。

そして、「法務局にも確認に行ってもらえますか」と言われたので、法務局にも出向きました。

 

ですが、法務局では「調べてみますので時間をください。市役所の担当者とも確認を取ります。申し訳ないのですが、新井さんは自宅にある当時の資料を探して持ってきてもらえませんか」とのことでした。

 

新井さんは自宅に帰って、お祖父さんが亡くなった当時の戸籍や、権利証などをくまなく探しました。すると道路以外の土地はきちんと名義変更手続きを経ていたことが分かりました。

 

相続手続支援センターパンフレット

この道路だけが漏れていることはおかしいと思い、自宅にあった当時の資料を持って法務局に戻りました。

「このあたりの地籍図は実は火事で焼けてしまい、細かな資料が無いのです。私どももいろいろと調べてみました。新井さんが持ってきてくださった当事の資料も確認しました。新井さんのお祖父さんが所有していた頃、このあたりの畑を道路にさせていただきました。その時にお祖父さんの名義の畑から、市の道路にしておかなくてはならなかったのですが、漏れていたのでしょうね。どういう理由で漏れていたのかは分かりませんが、新井さんのお祖父さんが亡くなった時の相続人は、お母さんだけだということが、資料で確認できます。そしてお母さんから新井様へは公正証書遺言があるので、今日新井さんが手続きをしていただければ、お祖父さんの名義はなくすことができます。」とのことで、法務局内で済ませていただきました。

結局はお祖父さん名義の土地が台帳だけ残っていた、ということで、抹消していただきました。

 

道路や集会場など、共用されている土地は、意外と昔の方の名義のままで放置されたまま残っていることがありますので、注意が必要です。

 

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