くらしの豆知識

あなたの隣りの相続物語 第37回 ~相続権がなかった「長男」~

 

掲載日:2015/05/15

‡ 相続権がなかった「長男」 ‡

 

 

相続手続支援センターパンフレット

お父さんがお亡くなりになられたAさんが相談に来られました。

相続財産としては、農協の預金と保険が少しと不動産がありました。

ただ、亡くなられたお父さんには、前妻があり、お子さんもいたようで「相続はどうなるんだろう?」と、Aさんは不安気な様子でした。

早速、相続人が何人いるのかを調べました。

すると…とても意外な事実が判明しました。

 

それは、相続人のAさんは、実はお母さんの連れ子で、亡くなったお父さんとは直接の血のつながりがなく、相続権を持たない子供だったということです。

小さい頃にお母さんが再婚して、一緒に暮らすようになり、その家の長男として育てられたAさん。

Aさん自身も、その事実は知っていたそうですが、当然養子縁組もしてあると思っていたようで、他の兄弟たちも長男として相続を取り仕切ってくれているという認識でいたようです。

 

相続権がAさんにはない旨の説明をさせていただいた時、さすがにAさんは「お父さんは養子縁組をしてくれていなかったのか」と落胆気味でした。

もちろん家族もびっくりされていました。

すると、他の兄弟が、「それでもお兄ちゃんであることにかわりはない。なんとかお兄ちゃんに、この家を相続してもらう方法はないか?」という話になりました。

 

相続手続支援センターパンフレット

結局、「遺産分割協議書で、お母さんが全てを相続し、お母さんの相続に関する相続権はAさんにもあるので、お母さんが仮にお亡くなりになられた場合には、Aさんに相続する」ということになりました。

最終的に、お父さんの前妻のお子さんも、「父とはもう数十年も顔を見ていないし、そちらの財産を受け取る気持ちもないので、そちらの相続は放棄します」とお話があり、家族全員の同意のもと、お母さんが全てを相続することで手続きを行いました。

 

「自分には相続権がある」と思っていても、戸籍謄本等できちんと調べてみないと確定できません。また、自分が連れ子だという認識があるなら、養子縁組がされているかどうか、ご両親がご健在のうちに確認しておくことはとても大事なことです。

 

通常ならば、このような問題が起きれば、これまでの家族関係が崩れ、もめてしまうのも仕方がないところですが、今回のAさん家族は、絆が深まったように感じられました。

それは、Aさんとご家族が深い信頼関係を築かれてきたその賜物であると思います。

 

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